鳥羽市堅神町の堅神神社(江﨑速雄宮司)で十八日、五月の田植え前の恒例行事で、五穀豊穣(ほうじょう)と町民の健康、幸せを願う春の中祭(ちゅうさい)があり、江﨑宮司が本殿に神饌を捧げ、祝詞を奏上した。
うっそうと茂る木々の隙間から木漏れ日が漏れる中、氏子総代が、本殿の入口に掛けられた布張(ふちょう)と呼ばれる幕を外し、神事が始まった。地元で取れたコメや魚、海草、野菜、御神酒などを奉納した後、江﨑宮司が五穀豊穣を祈る祝詞を読み上げた。
江﨑宮司によると、堅神町は昭和三十年代ごろまで、市内有数の農業が盛んな地域だったという。朝熊山から流れる冷水が、上質なコメを作り出していた。だが、近年は農家の高齢化や後継者不足から耕作放棄地が目立つようになり、祭典もかつてのにぎわいを失った。この日も、参加したのは江﨑宮司と氏子総代三人だった。
江﨑宮司は、「若者に神社の行事へ関心を持ってもらえるよう努めたい」と話し、地域の伝統や歴史を語り継ぐことの大切さを強調していた。九月末には、収穫に感謝する由緒祭が予定されている。
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