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鈴鹿高専生の特別研究・卒業研究が『Sensors』誌に掲載~二重層グラフェン膜のバイオフィルムセンサとして有効性を確認~

独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校(三重県鈴鹿市 校長:竹茂 求 以下「鈴鹿高専」という。)元専攻科中川遼一さんと元材料工学科斎藤開さんがそれぞれの特別研究及び卒業研究において兼松秀行特命教授の指導の下、「ぬめり」として知られるバイオフィルムの検出に二重層のグラフェン膜が有効であることを発見しました。本研究成果は、学術雑誌Sensors(出版社MDPI)に掲載され、ぬめりとして知られているバイオフィルムの発生や成長を測定する技術開発に広く利用されることが期待されます。

実験に使用した検体の構造

インピーダンス測定装置系と兼松研学生が取り組んでいる様子

研究成果の要点

  • 化学的蒸着法を用いて機械的強度の高い二重層のグラフェン膜の作成に成功した。
  • グラフェン膜に形成したバイオフィルムのインピーダンスを測定により、バイオフィルムをモニタリングできることに成功した。
  • 概要と背景

    GEAR5.0マテリアルユニットの抗菌・抗ウイルス・抗バイオフィルムプラットフォームで研究を進める学生がMDPI Sensors 誌(ジャーナルインパクトファクター 3.576、 サイトスコアー5.0)に投稿された研究成果です。その内容は、細菌の活動によって材料表面上に形成されるバイオフィルムがセンシングできる可能性を指摘したものです。これまでのバイオフィルムの検出には、高価な電子顕微鏡やレーザー顕微鏡などを用いて定性的な観察に留まっており定量的な評価法が待ち望まれていました。そして、二重層のグラフェン膜を利用することにより、単層膜では機械強度の弱い欠点を克服し且つバイオフィルムを定量化できる方法を開発しました。
    GEARマテリアルのプロジェクトは、鈴鹿高専を中核として、鶴岡高専、小山高専、呉高専、大分高専を協力校として日本全国の高専を結んで、協力体制を取り、国内外の大学、研究所、企業間でのオープンサイエンスにより社会実装を図っていくものであり、単独での研究プロジェクトに比べて、学際領域での成果が出やすくなっていることが特徴です。研究の基礎となったのは、鈴鹿高専材料工学科の学生(中川遼一氏:当時鈴鹿高専専攻科、現在名古屋大学大学院在学中、斎藤開氏;当時鈴鹿高専材料工学科5年生、現在東京工大大学院在学中)の特別研究・卒業研究で、上記プラットフォームを利用して、鈴鹿医療科学大学、産総研、日本工業大学,物質材料研究機構、名古屋大学、米国クラークソン大学、ドイツハノーファーライプニッツ大学の協力の下、オープンサイエンスのポリシーに基づいた共同研究を進めた結果です。同論文は,高専機構が企画した国際会議ISATE2021のシンポジウム(2021年9月に開催)のポストジャーナルとしてのMDPI sensorsの特集号に掲載されています。

    研究成果

    グラフェン膜に形成に被覆された試料(バイオフィルム)

    二重層のグラフェン膜に形成されたバイオフィルム標本は電極を装着した銅フォイルにサンドイッチすることで、インピーダンス測定ができるようになります。そして、インピーダンス挙動はバイオフィルムの存否に一致することが明らかとなりました。この事から、単層のグラフェン膜よりも強度の高い二重層のグラフェン膜を用いることによりにそこに付着したバイオフィルムを検知できることを確認しました。
     今回の研究成果は、バイオフィルムの評価法に対する国際規格化への重要な手段としての提案となり、抗バイオフィルムの素材開発を進める多くの企業にとっても不可欠な情報です。そして、私たちの生活するあらゆるところで発生するぬめり(バイオフィルム)の衛生的管理の上でその改善を図るための一役となります。

    発表論文URL:https://doi.org/10.3390/s22093548
    GEAR5.0マテリアル
    https://www.suzuka-ct.ac.jp/gear-materials/

    用語解説
    バイオフィルムとは
    バイオフィルムは、流し台の排水溝に発生する“ぬめり”の原因となるなど、水があればどこにでも発生し、環境・衛生に影響を与え、材料腐食などの原因となり、微生物と微生物が産生する細胞外高分子物質(多糖類やタンパク質など)の集合体であり、一般的には“ぬめり”として知られています。
    グラフェンとは
    グラフェンとは、炭素(カーボン)原子がメッシュのように結びついて、シート状になっているもので、熱伝導率や電気伝導率、引っ張り強度が非常に高く、電子部品や抗菌材料など多岐にわたる分野で今注目を集めている新素材です。
    インピーダンスとは
    交流回路で、電流の流れにくさを表す量。
    今後の期待
    これまで、バイオフィルム対策技術の研究開発では、さまざまな試薬や顕微鏡による検出方法が利用されてきましたが、本研究を発展させることにより今後バイオフィルムの形成の評価をより簡便・迅速に行うことができることが強く期待されます。
    鈴鹿工業高等専門学校について
    鈴鹿工業高等専門学校は、全国12の国立高専一期校のひとつとして1962年に設立され約10,000人の卒業生は技術者や研究者あるいは企業家として社会で活躍し、産業界から高い評価を受けています。1993年には、さらに2年間の高度な専門教育を実施する専攻科を設置して国際社会で活躍できる創造性豊かなエンジニアの育成に努めています。また、鈴鹿高専テクノプラザをはじめとして地域社会と密接に連携した教育研究により産業振興に努めています。
    【学校概要】
    学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構
    鈴鹿工業高等専門学校
    所在地:三重県鈴鹿市白子町
    校長名:竹茂 求
    設立:1962年
    URL:https://www.suzuka-ct.ac.jp/
    事業内容:高等専門学校・高等教育機関

    【本リリースに関するお問い合わせ先】
    独立行政法人国立高等専門学校機構
    鈴鹿工業高等専門学校
    総務課総務企画係
    TEL:059-368-1717(平日8:30-17:00)
    e-mail:chiiki@jim.suzuka-ct.ac.jp

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    山本泰久(やまもと やすひさ)自己紹介
    2000年ホームページ作成会社設立。約500サイト以上の作成・運営に携わる。
    座右の目「ライバルは同業者ではなく、お客様の心」
    本業はWebコンサルタント・Web作成・管理・運営。志摩市志摩町御座出身。自然大好き人間。昆虫、水生昆虫・魚など大好き。特にヤゴ・グッピー。
    伊勢志摩にある某宿泊施設の売り上げを前年度比350%アップした自分で言うのもアレですが大した者です。
    また、通販部門では某サイトの売り上げを前年度比500%アップなど20年研究し続けている独自のロジックにハマると何ぞかをやらかします。(笑)
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