伊勢市宇治館町の伊勢神宮内宮の神域内にある別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)で十日、第六十二回神宮式年遷宮の「遷御の儀」が営まれた。
鷹司尚武大宮司以下、神職約四十人が奉仕し、すでに終了した内宮、外宮の両正宮と同様に、ご神体を旧社殿から新社殿に移した。
同市を中心に十四ある別宮の中では、最初の遷御となった。
伊勢神宮式年遷宮広報本部などによると、別宮での式年遷宮の諸祭行事は、両正宮より数が少なく祭主や天皇陛下のお使いの勅使が出ないなど、全体的に規模が小さい。
が、儀式の手順はほぼ同じという。
この日の遷御の儀は、参拝停止後の夜に始まり、神職らがちょうちんの明かりを頼りに正宮裏手の荒祭宮に参進した。
鶏をまねた「カケコー、カケコー、カケコー」の声を合図に、午後八時ちょうど、神職の列が、白い絹垣で隠したご神体と、神宝類を持って旧社殿を出て、屋根付きの回廊を渡り、新殿に納めた。
これに先立ち、同日午前十時ごろには新殿内を飾る「御飾(おかざり)」が執り行われた。
十一日には大御饌(おおみけ)と奉幣(ほうへい)の儀式がある。
十三日夜には、外宮神域の別宮、多賀宮(たがのみや)の遷御を予定している。
■別宮
伊勢神宮の百二十五社の中で、内宮と外宮の二つの正宮に次ぐ重要な格付けで、市内を中心に十四社ある。
系列に分かれ、荒祭宮は内宮第一別宮、多賀宮は外宮第一別宮とされる。
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